AniPAFE2022編集後記『【MAD】Hello, Again~昔からある場所~ 【planetarian】』編
続いて『【MAD】Hello, Again~昔からある場所~ 【planetarian】』について書いていきたいと思います。
こちらも色々いらないことも雑に書き連ねていくので、苦手な方はブラウザバック推奨です。
はじめに、このMADの組み合わせを思いついたのは一年前、AniPAFE2021の結果発表が終わった頃でした。
あの時の私は『テイルズオブアライズ』から『Hello,Again』を知り、そこそこハマっていたので、この曲をMADに使いたいなと思っていました。
ですが、去年の年末にラスサビだけ作って半年以上放置したままに。
理由としてはいくつかあって、
・去年に作った『【MAD】AIをこめて花束を【planetarian】』がその時の私の中で最高の選曲と出来で、それ以上のいいものにできる自信がなかったから
構成や演出も似たようなものになりそうでしたし…
・その後に見た『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』の方が『Hello,Again』に合っていたこと。
実際に歌詞や曲とのマッチ率やまとまりは今でも向こうが上だと思っています。
・ラスサビは埋めたけどそれより前が埋められなかった。
構成が思い浮かばなかったのか、ただやる気が起きなかったのか…
そんなこんなで復活したのが今年の夏、これで参加する気となったのは
・去年支援作として『planetarian』MADを上げたすぐ後に「ああああ、やっぱりこっちを参加作に選べばよかった」という後悔があったから
・どうせAniPAFEに参加するなら自分が好きな作品で戦いたい
『planetarian』は現在もトップレベルに好きな作品ですし
・他に控えがそんなにいなかったから
です。……です!
ではMADの解説に入ります。
『「宝物?」「このケースが?」「このケースが宝物なの?」「そうだね。人生を変えてしまうほどのね。」』
今回も『ポンポさん』の方同様、ラスサビを一番先に埋めて辿るように遡っていったので、この導入が最後のタイムライン埋めです。
子供たちの問い掛けに答える形でMADが始まりますが、この子供達の問い掛け、全ての回想が終わった後のシーンなんですよね。
ですので、聞かれた後に星の人(お爺さんの呼び名)が「正確に言えばこのケースの中にある物の事なんだ」って言いながら中身を取り出すのですが、これがまずい。
作品未視聴の初見さんでも、後にゆめみちゃんが出てきても「ああ、さっきのメモリーカードはこのロボットさんだな。死んでしまうんだな」というのが丸分かりです。
ですので、とにかく星の人が肯定していて、声の張りなどこの場所に合うような台詞を探して当てはめてみました。
そして本編でも回想の導入前となる「人生を~」に繋いで過去のシーンへ
『「「そこは封印都市だった」」』
現在から過去に遡るように二人の声を重ねて
Aメロ冒頭
『雨はこの街に~』からの部分にどういうシーンを当てるか決まっていたので、この約20秒の尺に1話部分(状況に屑屋やゆめみちゃんの説明)を詰め込む必要がありました。
そうすると映像だけだと無理が出てくるので、2人のセリフを追加。
結果的に
・ゆめみちゃんが29年前からひとりでいるロボット
・渡そうとしてくるガラクタの塊が花束
・屑屋が全然乗り気じゃない
・イエナさん(投影機)が故障中
・1度はプラネタリウムを後にする屑屋さん
を端的に説明できたと思います。
別の場面の台詞を使うこともあったのでそれに合わせて口パクを調整。
イエナさんについて話す屑屋さんの一部も別のシーンから引っ張って来た物です。
画面に変化が欲しかったのと心底嫌そうにしている感を出したかったので。
『雨はこの街に 降り注ぐ』
メンシェンイェーガーさんとシオマネキさんを紹介しつつ、雨が降り続ける街を映す。
雨の中話すふたりも入れようかと思いましたが、1カットだけだと前後のシーン的に不自然な感じがしたので雨水を受けるボトルだけ映して屑屋がまだ立ち去っていないことをやんわりと演出。
『少しの リグレットと罪を 包み込んで』
ゆめみちゃんとの会話で今までの厳しかったり辛かったりした出来事が少し忘れられ、和らぐ感じを意識。
ゆめみちゃんが眠りにつき、それを見て微笑む屑屋さんだけだと「なんか違う」感がしたので、少しだけオリジナル風に。
ゆめみちゃんの話に耳を貸し、受け答えをする中で自然と笑顔がこぼれてしまう。
→そんな自分に気付いてハッとするも、「これもまあいいか」となって微笑みなおし、修理作業に戻る。
切り貼りと逆再生からの一旦停止、通常再生に戻すことでそんな感じを演出。
『泣かないことを 誓ったまま 時は過ぎ』
辛い過去が無くなったわけでも忘れたわけではない、時折物思いにふける様子を描く。
それでもゆめみちゃんとの和やかな時間は流れていき、修理は完了していよいよ投影開始へ。
『「記憶の中で ずっと二人は 生きて行ける」』
劇中では屑屋さんからカメラが引いていき、イエナさんの全体を映すシーンなのですが...もう今までに3回使ってるんですよ!このシーン!(去年、一昨年の『planetarian』MADに今年のAniPAFE支援作)
「なんかもういいよな...」感が出てきたので、逆再生にして屑屋さんの瞳に吸い込まれるよう変更。
それから屑屋さんの過去→屑屋のお母さん→戻って来て思いをはせる屑屋さんに繋げるのはとんとん拍子で上手くいきました。
途中で星の人がゆめみちゃんを想うよう構成しようかとも思ったのですが、合わなそうというか「無理やり過去と今を行き来するものじゃないな」と思い、没。
『君の声が 今も胸に響くよ それは愛が彷徨う影』
この歌詞は大切な人に先立たれた人がまだ忘れられないっていう意味のものなんですけど、この場面に合わないので自分なりに切り分けて当てはめ。
ゆめみちゃんの解説が凍え切ってしまったと思っていた屑屋さんの胸に響く。それは彼が優しい心を忘れなかった、ずっと残してた愛が見せるものだといった感じに。
29年間さまよい続け、変わらずにいたゆめみちゃんの愛が見せる影といった意味も込めて。
『君は少し泣いた? あの時見えなかった』
屑屋さんは極まって泣きそうになるが、寝たふりをしてゆめみちゃんには決して涙は見せない。それを見つめるゆめみちゃんはただ微笑むだけ。
ゆめみちゃんは座席についた後もひとりで喋り続けるのですが、ふたりで静かに眠る感を出したかったので少し静かにしててもらいました。
『自分の限界が どこまでかを 知るために 僕は生きてる訳じゃない』
足手まといになるゆめみちゃんを連れているけど、別に酷い目にあうため(対人兵器ロボとの戦闘)やチキンレースがしたい訳じゃない。
行く先々の危険を案じる屑屋だけど、ゆめみちゃんに呼びかけられる事で現実に引き戻されるといった構成に。
そして屑屋はゆめみちゃんとの想い出を振り返る。けれど、ロボットであるゆめみちゃんはこの街を離れられないし、心は微妙にすれ違ってて隔たりがある。いずれ別れの時が来る。
「こんな辛い想いをするために彼女と一緒にいる訳でもない」といった意味もこの歌詞に重ねています。
『だけど 新しい扉を開け 海に出れば 波の彼方に ちゃんと"果て"を感じられる』
ここでは壁の外に行き、ゆめみちゃんとの新たな暮らしを夢想する屑屋を描こうと思ったのですが、尺が足らず断念。
代わりにゆめみちゃんと屑さんに何が起きたのかを丁寧に描いて、感じていた「果て」にたどり着けないことを描写。
『僕は この手伸ばして 空に進み 風を受けて』
ここでの『風』は屑屋の『噓』であり、ふたりの『希望』。屑屋が語る理想の世界と未来。
崩れた壁を見せてから、泣きそうな屑屋、夢想した暮らしを見せることで叶わなかった願い、屑屋の精一杯の噓を台詞が無くともわかるよう構成。
『生きて行こう どこかでまためぐるよ』
『「どうして…でしょう?」「「「「「ゆめみちゃん!」」」」」「私は…幸せな気持ちで一杯なのに...」』
観客や同僚たちを思い返すシーン、初めはこの部分では台詞は入れてなかったのですが、「去年にほとんど同じ事やったなぁ...」と思い、「ゆめみちゃん」と声を掛ける観客の映像で構成し直し、音声を挿入。
それだけだと、音声にいきなり出てきてすぐ去っていった感が出るので、前後にゆめみちゃんの台詞も追加。
ぼやけるビジョンは雨とロボットが流せない涙を意識。屑屋さんだけをぼかして表示はそのままにしたかったですけど私の技術力では難しかった...
...心の涙です!
屑屋はゆめみに、ゆめみは屑屋を含むスタッフや観客にまた会えることを信じて機能を停止する。
『遠い昔からある場所 夜の間でさえ 季節は変わって行く』
『昔からある場所』...ゆめみが働く場所であり、屑屋が目指すべき場所。
耳のイヤーレシーバーにメモリカードがあることと、それ(と防水ケース)を持って決意を露にする屑屋を描き、暗転で季節が過ぎ去りと回想の終了を告げる。
ラスサビ前の間奏
星の人視点は、最初は行き着いた集落で目覚めるところからいこうかと思っていたのですが、導入部分が良い感じに働いてくれたので、カット&構成し直しでゆめみちゃんのメモリカードを大切に持っていたこと、アハトノイン(修道女ロボット)さんとの出会いと天国への旅立ちに焦点を絞れました。
劇中ではメモリカードをノインさんに入れられず、星の人は倒れてしまうのですが、今回はそれが成功し、彼女がゆめみちゃんとなったともとれるように構成しました。
星の人には「(メモリカードを)君達に受け取ってほしい」と言わせなかったですし、ノインさんの耳元に手を伸ばすけれど、カードを挿入できなかったシーンはいれなかった等。
まあ、未試聴者向けの小さなルートや解釈の一つと思っていただければ。あくまでどちらとも取れる感じに。
『雨は やがて あがっていた』
曇っていた心は晴れ、星の人が報われる時が来る。
『「記憶の中で ずっと二人は 生きて行ける」』
星の人も天国に行ったので、厳密に言えば『記憶の中で』ではありませんが...
これも彼の記憶が生み出した愛が彷徨う影なのかどうか...これも視聴者の好きな解釈に任せます。
いずれにせよ、これからはふたり一緒に。
『「久しぶりだな」「はい。お久しぶりです」』
そして果たされる『再開』、『Hello,Again』。
ここも絵に変化を持たせたかったので、ふたりのアップは別のシーンから流用。
『君の声が 今も胸に響くよ それは愛が彷徨う影』
『「星を、星の事を多くの人に伝えてくださって本当にありがとうございます」』
ゆめみちゃんの感謝の言葉、それに合わせて星の人が今までやって来た事を視聴者にも見せ、その感謝の言葉が星屋に届く。
心に響くのは、今まで救えなかったことを後悔していたから、自分を責めていたから、感謝されるなんて思っていなかったから。それもきっと『愛が彷徨う影』。
その影の源泉に立ち返るように回想とフラッシュバックは時系列を逆にして。
『君は少し泣いた? あの時見えなかった』
『「報われた...その一言で...すべて...」』
あの日見せなかった涙、あの時以外流さなかった涙、それが止めどなく溢れて来る。
それを見つめるゆめみちゃんはただ微笑むだけ。
『「さあ、投影を始めよう」「はい」』
最後に投影開始を告げる星屋と報われたような表情をする星の人でこのMADは閉幕。
最後の星の人とノインさんはどうしても気になる部分があったので、一部を少しだけ変えてあります。恥ずかしいから絶対に見比べちゃダメだぞ☆
AniPAFE2022のテーマは「変わらぬアイ」。
劇中でゆめみちゃんを想い続けた星の人の「愛」、ひとりぼっちで待ち続ける間も決して忘れなかったゆめみちゃんの人間に対する「愛」と「変わらなかったAI」を掛けています。
「AI」と「愛」って去年もやっ(
今回意識したのは、去年の自分(のMAD)とゆきのふさんのMADですね。
私の中でこの二つが超えるべき最高峰の『planetarian』MADであり、構成にかぶった感じやパクった感じにならないようにという意味でもちょっと意識しました。それでもどうしても似通った部分があるような...
そこんとこどう思ってるんですか、ゆきのふさん!(うるさい)
AniPAFE2022ではテーマ賞8位、総合賞47位を獲得することができました。
「引っかかるとしたら構成賞とか選曲賞かな」と思っていましたので、総合賞の方は完全に予想外でしたね。
私事ですが、AniPAFEを知った切っ掛けは一昨年の『planetarian』MADに勝手に付けられたタグでした。
私にとってのAniPAFEのはじまりでもあり、後悔も経ることになった『planetarian』MAD。色んな事があった大好きなこの作品で入賞出来て、誰かの記憶の中に残すことができて本当に嬉しいです。
報われた...この結果で...すべて…とは言わないが、それでも...
これで私のAniPAFE2022編集後記は以上ですね。
皆様、ご視聴、投票、そしてここまでのご閲覧、本当にありがとうございました!